電車温泉日帰り旅行記

４月のある日、今日の日帰り温泉は韮崎の温泉にしようと決めた西さんと北さん。韮崎駅から市役所まで歩き、そこからレンタサイクルで温泉めぐりをしようという計画。

旭バイパスから
見える桜

釜無川を渡り、長い坂を上って県道（旭バイパス）に入ると、道はなだらかとなります。青く澄み渡った空を仰ぎ見ながら、爽やかな風に後押しされて、のんびりと自転車を走らせます。

「たまには自転車で温泉というのも悪くないな。」

「季節と天気にもよるけどね。」

「桜も咲いてるし、季節的にはベストじゃん。」

旭バイパスから望む富士山

「富士山もはっきり見えるしね。サイクリング日和でよかったよ。」

富士山をほぼ正面に見ながら走り、「鍛冶屋」信号交差点で曲がって、韮崎旭温泉に到着です。

外観

「さあ、着いた。広々としてるよなあ。」

「あんまり温泉らしい建物じゃないねえ。この温泉マークって、どうよ？」

中に入ると、意外と天井が高く、小ざっぱりとした印象です。

ロビー

「へー、中は、外観ほどしょぼくないじゃん。」

「確かに。庶民的だけど、汚い感じはないね。」

左には休憩室がありますが、もちろんそこは後回しにして、西さんと北さん、さっそく浴室へと向かいました。韮崎旭温泉はＬ字型の内湯がひとつのシンプルなつくりになっています。

浴槽

「大きな窓で、いい感じだな。お湯がエメラルドグリーンに見えるよ。」

「お湯自体にはそんなに色はついてないと思うけど…。光線の関係かね。」

「ま、どっちにしろきれいだよな。…お、このお湯、飲めるんだってさ。」

韮崎旭温泉は加水や加温をしていない源泉をそのままかけ流しています。かけ湯・湯口からのお湯とも飲泉が可能となっています。

「湯船からお湯がザブザブあふれてるねえ。やっぱり温泉ってのは、こうでなくちゃな。」

湯口

湯口は浴槽のすみにあります。普段は地元の常連のお客さんが占領している湯口付近ですが、今日はまだ時間が早かったせいか、湯口付近には誰もいません。これ幸いと、西さんと北さんは湯口付近の特等席に陣取りました。

「おおーっ、泡アワがすごいぞー！」

「払っても払っても体に泡がつくよ。こりゃいいや。」

「湯口のすぐ近くだけあって、泡つきが半端ないわー。」

「温度もちょうどいいし、感触もいいし、こんないい湯は奇跡的だね。」

「あっ、お湯を動かすな！」

「へ？」

「今、泡を育ててるんだから。」

「…育ててる？」

「体についた泡が大きく育って、体から離れるとき、自分自身から炭酸がぬけ出てるみたいで、気持ちいいのだよ。」

「…はあ、そうですか…。…立派に育つといいね…。」

西さんと北さん、それぞれ思い思いに韮崎旭温泉の泡つき湯を堪能したようです。湯から上がって、休憩所にやってきました。

ウッドデッキ

「お、外にウッドデッキがあるぞ。結構広いよ。」

「ほんとだ。…よし、ここでさっき買った駅弁食べよう。」

「むむ、温泉入って、こんないい天気で富士山を見ながら駅弁か…。完璧じゃん。」

甲府駅で買っておいた駅弁が、やたらとおいしく感じられた西さんと北さん。午後からは、ここからそう遠くない白山温泉へと向かいます。（→白山温泉へ続く）

（2013年 4月）