電車温泉日帰り旅行記

秋です。 紅葉前線は順調に南下して、関東地方もそろそろ見ごろを迎える頃、西さん北さんが向かったのは伊香保温泉です。 前回、伊香保温泉に来たのは夏でしたので、今回は温泉プラス紅葉を満喫する目論み。 伊香保温泉に到着した二人は、なにはさておき河鹿橋へと向かいます。

「そうそう、伊香保温泉、こんなところだったなあ。思い出してきたよ。」

「何年ぶりかな？　前来たときは暑かったけど、今回は涼しくていいね。紅葉もちょうどいいタイミングみたいだし。」

「この道は露天風呂に行く道だったな。河鹿橋って、その途中だっけ？」

「ほお、ちゃんと覚えてるな。たぶん、そろそろ見えてくるころでしょう。」

河鹿橋の紅葉

「あっ、あれだ！　すごいきれいじゃん！」

「お～、いいねえ！　さすが、紅葉の名所！」

ひとしきり河鹿橋の紅葉を満喫した西さん北さん、次は露天風呂へと向かいます。 西さんによれば、「伊香保温泉に来たらこの露天風呂は絶対はずせない」のです。 久しぶりに伊香保露天風呂にてゆったり過ごす西さん北さん。 （伊香保露天風呂の旅行記は伊香保露天風呂へ。）

石段街

そのあとは石段街をぶらぶらしたり、名物「石段玉こんにゃく」を食べたりと、ひとしきり観光客らしく振る舞う二人。 時刻はそろそろ3時になるところ。

「もうすぐ3時だよ。横手館、行きますか。」

「OK。さっき前を通ったよな。たしか、ここを曲がってこの道に入るんだったな。」

「そうそう、ここだ。…ああ、灯りがつき始めたね。一段と風情がでてるじゃない。」

外観

「木造って言ったっけ。4階建てかな？　それにしても、いかにもインスタ映えしそうな建物だよなあ。特にこの玄関！」

「確かに。大正時代の建築だからねえ。要するに、歴史の経った建物はそれだけで趣が出るよ。」

受付を済ませ、さっそく館内へ。浴室があるのは本館東棟（建物正面から見て左側）です。

「中はけっこう新しい感じじゃん。…おっ！　この階段の上！　いいねえ！」

階段の上の照明

「ほお～、さりげに絵になるね。」

「きれいにリニューアルしてるけど、レトロな雰囲気は残ってるな。 廊下も見た目は新しいけど、基本的つくりは建築当時から変わってないっぽい。」

廊下

「そんな感じだね。この休憩室なんて、あきらかにもと和室だもんな。」

「大正時代っていったら、もう100年経ってるってことだよなあ…。これ、当時としてはめちゃくちゃ豪勢な建物だったんじゃない？」

「そうだろね。それがいままで残ってるんだから、けっこう貴重だと思うよ。」

浴室は廊下の奥となります。大浴場は「月光の湯」と名付けられた趣ある浴室。

「月光の湯」浴槽

「おーっ、なかなかいい雰囲気じゃん！　思ったより大きな湯船だし。」

「レトロっぽい、いい味出してるね。お湯は昔ながらの伊香保温泉のお湯だな。」

「さっき行った露天風呂と同じやつだな。黄土色っていうか、ちょっと緑っぽい？」

「要するに、鉄分が多くて新鮮だと緑っぽくなったりするから、お湯は結構新鮮だと思うよ。 上にある露天風呂ほどじゃないけどさ。 上から下って来るぶん、お湯が揉まれて柔らかい感じだけど、生き生きしてていい湯だね～。」

「ふむふむ。ちゃんと鉄っぽい匂いもするもんな。」

「今の時間帯は宿泊客もまだだから、ほぼ一番風呂でしょう。 張ったばかりの新鮮なお湯を真っ先に楽しめるのは、日帰り入浴ならでは、かな。」

「なるほど～。もしかして、日帰り、すごいお得じゃん。」

夕暮れどきの外観

伊香保温泉らしい「黄金の湯」と大正レトロな横手館を満喫した西さん北さん。 そろそろ夕方に近づく時分、日帰り温泉を楽しむべく、次に向かったのは旅館「古久家」です。 （→伊香保温泉 古久家へ続く）

（2019年 11月）